映画『マ・レイニーのブラックボトム』会話劇に引き込まれる 黒人たちのブルース

映画・海外ドラマ

この映画も2021年のアカデミー賞ノミネート作品。
実はずーっとマイリストに入ってたんだけど観てなかった。
Netflixで観られます!

Netflixはこちら↓

1927年シカゴ。暑いスタジオでミュージシャンたちがブルースを録音する。
その中で黒人の彼らの生きてきた世界が、リアルに響いてくる。というお話。

会話劇がメイン。ブルースを録音する話なのですが、セリフも音楽のように絶え間なく波のように流れます。役者さんの熱気が伝わってくる感じ。シチュエーションもほぼスタジオ内。もともと戯曲が原作になっているというということで、舞台を見ているようですね。

これをNetflixで観る人は鑑賞後にメイキング動画『マ・レイニーのブラックボトムが映画になるまで』も観てみるといいかも。私は歴史に弱いのでこの1927年が黒人にとってどういう時だったのかとか、ブルースがどういう音楽なのかとか、この動画を観てやっと全部理解できた感じがした。勉強不足だねぇ・・・。
映画の中でマ・レイニーの「(ブルースは)人生を語る手段、皆が歌う理由は人生を理解できるから」というセリフがあるのですが、黒人たちにとってそれくらいの意味がある音楽なんですよね。知らなかった…。

南部から希望をもって北部に大移動した黒人たちを待っていたのは、やはり搾取と差別。
それを認めて受け入れて、それでも次の世代のために強気に振る舞い、反抗し続けるマ・レイニー。
白人たちが興味があるのは自分の歌だけ、あとは捨てられる、それならしっかり報酬をもらい、相応の対応をして貰おうと気を張っています。
その反対に希望を持っているレヴィー。しかし彼も過去や歴史に足を取られ、白人に搾取される道しか見えないまま怒りを募らせる。彼の怒りはどこへ向かえばよかったのか。
開けようと挑みつつけた扉も、その先は行き止まりなのだから。あのドア、差別問題とリンクして象徴的ですね。

あとはもう、観て感じてほしい映画なのですが、黒人のブルースは搾取され続け、曲も買い叩かれ、名前も残らないまま消えていったミュージシャンが沢山いたんだろうというところもやるせなかった。
1曲5ドル、レコーディングはマ・レイニーが200ドル、その他参加ミュージシャンは25ドル。

これが彼らが生きた世界。暑いシカゴのスタジオと控え室で、彼らの軽妙でリズミカルな会話と語りを聞き、何よりチャドウィック演じるレヴィーの憤りの叫びを聞き、彼らと一体化してしまったかのように引き込まれた。
人種差別、昨今問題視された問題でもあるけれど、ここまで鋭く心に感じられる映像作品はないのではないだろうか。

最後に、チャドウィック・ボーズマン大好きでした。この映画は彼の遺作です。
病気だということも隠していたので、本当に突然の訃報に驚いてショックを受けてしまって、この作品もなかなか観ることができませんでしたが、本当にエネルギッシュで素晴らしい演技をしています。
彼の演じた素晴らしい作品は残り続けますね。思いきって観てよかった。

あ、あとあれ!演奏開始のときに言う「One, two, you know what to do」 めちゃかっこよ!!
バンドやってたら絶対まねしてたわ。

アイキャッチ画像:Oberholster VenitaによるPixabayからの画像