胸がぎゅってなる…。ムーンライト

映画・海外ドラマ

ムーンライト。やっと観ましたよ。
第89回アカデミー賞で作品賞を含む3部門を受賞したこの映画。なぜ今まで観ていなかったかというと、私のメンタルに余裕があるときが良かったからなんですよ。
話題になった作品ゆえ、情報に触れないでおこうと思っていてもどうしても見聞きしてしまって…。印象が完全に『(人種や同性愛が原因の)差別に苦しんだ男の少年期から大人になるまでを描いた映画』みたいになっていて、これはきっとつらい…元気な時に見よう…ってしてしまっていたから。

実際見てみたら全然ちがう。確かに黒人の同性愛者のお話ではあるけれど、誰にでも当てはまるような自分の居場所を見つける物語で一途な愛の物語だった。
いや、なんか胸は苦しくなるんだけどね。自分のいろんなこと思い出したり、感情移入しちゃったり。観終わってじんわり染みてくるような素敵な映画でした。早く観たらよかった…。なんでこうやって変なとこビビりなんだろ私…。

映画は子どもの頃、ティーンエイジャー、大人のときの3つの章に分かれています。どのパートも短い期間のお話で、その期間以外で彼がどんな人生を歩んでいたかはわからないのですが、どのパートも彼の人生において象徴的な部分だったんだろうな…と想像できます。自分の孤独と、人の愛に触れて、傷ついて…居場所を見つける。誰にでも当てはまる物語なので、黒人だからとか同性愛者だからとかいう部分はもうほぼ関係ないです。
そして美しい記憶の中みたいな映像。 誰かが人生を振り返ってるのを一緒に見た感覚。
たぶん映像の撮り方とか編集の仕方とかでそう見せているのでしょうね。すごく印象的でした。背景や必要のない情報の部分がやけにぼやけて見えなかったり…強い場面の色は鮮やかに覚えていたり…。夢でみたことを思い出そうとしたときとかに、そんな感じになりませんか?あと、昔のことを思い出すときとか。

ストーリーはこれ一途なラブストーリーなんでしょうかね。終わってみたらそんな感じでしたが、親子のように接してくれたフアンとの話も、母親との関係も、いじめの話もあったりするので、人によってぐっとくるところが違ったりもしそうです。
私的には彼の孤独感と、居場所を見つけることができたラストにぎゅってなりました。淡々としてて、押しつけがましくもなく、そして特に盛り上がりもなく終わるのにけっこうきましたね。そして月の光をうけたシャロンの美しいこと…。

私、いじめられてたりしたんですけども、その時のおなかに石が入ってるみたいな孤独感とか、脚がじんじんする感じとか、気にせず話してくれた友達のありがたさとか…いろいろ思い出しちゃいました。もう会うことはないけれど、あの当時嫌がらせしてきたあの人、元気かな。まじで不幸になっていてほしいけど、そんなことはなく普通に暮らしてるんだろうな。そんなものよね人生って。
でもそんなことより、自分の愛する人たちを大切に生きていこうって思える、静かなのに強く心に残る、すてきな映画でした。この私の心の呪詛がすこしだけ浄化された気がします。愛ってきれいだな。