映画『ROMA/ローマ』あの男への怒りでいっぱいいっぱいの感想

2019-01-08映画・海外ドラマ

Netflixで。
昨日のゴールデングローブ賞の授賞式で知って、どこかにないかなーって探したら見つけたので鑑賞。これってネトフリでしか見れないやつなのね!!びっくり!!こんないい映画が映画館で観られないってこと?っていうのもあるし、それでも賞を取ったってことにびっくり。もう映画館での上映あるなしは関係なくなっていくのかな。Netflixオリジナル作品面白いの多いもんなー。

映画はメキシコシティ近郊のコロニア・ローマというところが舞台。
家政婦とその雇い主家族の日常を淡々と映し出していく全編モノクロの作品。とても静か。
映像も、音も、物語もとっても静かに進んでいくんだけど、不思議と入り込んでしまいました。映し方かな?部屋の中のシーンではそこに立って人々を眺めているような感覚でした。
そして白黒だけなのになんでこんなに綺麗なんだろうか…私たぶん全編モノクロ映画は初めて見たのですが、陰影の使い方だけでこんなに情感出るんだなと驚きました…。
計算された絵画みたいでしたね。きれい。

家政婦クレオに寄り添って見ていく日常は、最初のころの明るい家でテキパキ家事をする気持ちのいい雰囲気から、だんだんと不穏な感じに…。雇用主家族の夫は家に帰らないし、クレオは妊娠してしまう…。しかも相手の男が秒で逃げる。なんだあれ。くそ野郎過ぎるだろ。(……とりあえずこの話は置いておきます)

病院での地震、割れるコップ、年越しの山火事…。いろいろありつつも大きくなっていくおなか、くそな男ども、そしてあの悲しい出来事。あのシーンはトラウマ級にきつかったです。つらそうなクレオ越しに見える一連のこと…きっついです。この映画音楽もないのですが、静かなだけにいろんな音が聞こえて、やっぱりその場にいる気になっちゃうんですよね。没入感がすごい。

その出来事のあと、こちらはこちらで父親を失った家族たちとクレオは支えあいながら強く生きていくわけです。海のシーンでは号泣でした。泣いちゃうわあんなん。
冒頭のシーンと、この海での波に立ち向かうシーンは対になっているんでしょうね。 あとラストの飛行機、冒頭では水に映った飛行機だったけど。現実を見て顔をあげて生きていこうってことかな。
海で抱き合って支えあう家族たちはとっても象徴的で、 なにかすごくハッピーなラストってわけでもないのですが、弱い者同士でも、支えあいながら日々を暮らしていけることの幸せにじんわり心温まる、いい作品でした。

だがしかし!
男どもへの怒りがやばい。あの父親…楽しそうに浮気して…!しかも病院でのあの逃げ方…「予約があるから」って絶対嘘だろ調子がいい…。ただこちらは奥さん、あの小さい車を買ったあたりで吹っ切れてますよね。それが救いでした。大丈夫、やっていける。
そして最低オブ最低の全裸武術やろう!妊娠聞いた瞬間にすぐ消えるって…まじ…!しかも、あなたの子だからって言いに行ったクレオを「大声と武術で脅して」追い払うすがすがしいほどのクズ…。
あの男に何か罰が当たることを期待していたのですが、それが映画の中で叶わなかったことだけが心残りです。

まぁ、そんなことよりも自分のまわりの大切な愛すべき人たちと一緒に暮らしていくことが、幸せで、大事なことだよっていう映画なんだろうけども…そして、きっと監督が昔お世話になった、好きだった家政婦さんに捧げた素敵な映画なのもわかるんだけど…。
…クレオ、メンタルかなり強いでしょ。変な武術の先生がやってたあれ、出来てたもんな。私はクレオたちほど心が強くないし未熟者なので、めちゃめちゃにあいつを憎んでしまう…。…くそー許せん…。